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神の値段 [一色さゆり]

第14回「このミステリーがすごい」大賞受賞。

現代アートのあり方というのか、

作者は姿を現さずに作品を発表して、

作品の価値を高めてゆく戦略?とか、

ギャラリーの存在の意味だとか、

こういう世界に疎いので勉強になりました。


また、

自分で作品を作らずに、

スタッフに指示して作成するのも「アリ」なのか、

と、やや釈然としない思いも持ちながら

読んでいました。


殺人事件をめぐるミステリーというよりも、


川田無名という人物が実在するのか?

さらに

作品の値段を上げるにはどうすればいいのか?

もっといえば、

現代アートの「価値」とは何か?


そんな疑問を抱きながら

読み進める作品でした。


ですから、

ミステリーという感覚ではなくて、


誰が殺人者なのか、


という、事件の解決が主眼ではなく、


ある意味「謎」の現代アートこそが

主題であり、

ミステリアスな世界なのだと思いました。


まあ、

大きな範囲で考えれば

「ミステリー」なのでしょうが、

おそらく、

「ミステリー」の「謎解き」の前提となる

トリックとか仕掛け、といったものがほぼ出尽くして

しまって、

作品の世界そのものが「ミステリアス」であるものを

「ミステリー」と呼ぶしかできなくなっているのではないか、

と思うこの頃です。


たとえば、

織田信長の死の「謎」をめぐる小説が

いくつか出ています。

これも「ミステリー」と呼ぶのか。

むしろ今後はこうした形の「ミステリー」が

主流になるのか?


それとも、

個性的な探偵を作り出して、

その探偵の魅力で、

つまらないトリックをあたかも凄い謎のように

解いてみせるのか。

「ミステリー」の今後はどうなるのでしょうか??








神の値段 (宝島社文庫)

神の値段 (宝島社文庫)

  • 作者: 一色 さゆり
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/01/11
  • メディア: 文庫



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