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ひなた弁当 [山本甲士]

たまたま本屋さんでみつけました。

「ひなた弁当」というタイトルに惹かれたのでしょうか?

とにかくページを開いてみると、

リストラの話です。

気弱そうな、営業成績ももうひとつのような、

言いたいこともすぐには言えないような、

でも真面目な会社員が、リストラされて途方にくれる

話ですね。

でも、

このあとがちょっと違う。

どんぐりを拾って食べてみる。

どんなふうにしたら美味しく食べられるか

やってみる。

奥さんに内緒でそっと台所を使って、また片付けておく、

という気の遣いよう。

自分で釣った魚を料理してみる。

そこから

閉店したお弁当屋さんで働かせてもらうようになる。

そこらで採った草や、

釣った魚を素材にして、材料費なしで、

おかずを作り、お弁当として売り出す。

この熱中ぶり。

工夫し、考え、楽しむ、

これまでとは違った人生が始まるわけです。


このお弁当を食べた人が人を呼び、

ネットや地方新聞で話題になり、

評判になってゆく。


周りの見方も変わり、家族も変わってゆく。


なんでしょうね、

どんどん広がってゆく人のつながり、

さらには、

講演の提案まで出てきて、

今後の可能性が見えてきます。


こんなふうにリストラされたあとの人生が

開けていったらどんなにいいだろう、と

思います。

しかも、

迷う若人の力になったり、

弟子入りしたいという人も現れて。

以前の会社勤めのときと、なんという違い。


一種のファンタジーではありますが、

心地よい時間になりました。

こんなふうに、

自分のやりたいことに熱中して、

結果、こんなふうに感謝もされ、評価もされて、

人生が変わって。

こういうことは、

なかなかないでしょうが、

元気が出ます。



展開のスピードが気持ちよく、後半は一気に

読んでしまいました。


勤めていた会社のその後の崩壊ぶりなど、

勧善懲悪的な記述もありますが、それはともかく。


こんなふうに生きる幸せが感じられたらいいなあ、と

思います。


読後の幸せが嬉しい一冊でした。




ひなた弁当 (小学館文庫)

ひなた弁当 (小学館文庫)

  • 作者: 山本 甲士
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/02/07
  • メディア: 文庫



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