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「陽炎」~東京湾臨海署安積班 [今野敏]

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今野敏作品の中で何が「王道」なのかわかりませんが、

この「安積班」は大好きなシリーズです。

班長のもと、村雨、須田、黒田、桜井という個性的な

メンバーがいて。

さらに、魅力的な速水がいて。

どの作品もがっかりすることがありません。

今、一番手にとって間違いない一冊といえます。

この一冊の中ではラストの「陽炎」

暑い暑い夏。

受験生の男子がひょんなことから警察に追われることに

なってしまい、「人質」として近くにいた女子をつれて

屋上にこもります。

しかし、誰もそもそもなぜ彼が逃げて、なぜ彼を追っている

のかわからないでいる。

暑さで誰もが判断力を失っている、と考える班長は、最初から

調べ直します。

なんのことはない、さまざまな誤解の積み重ねが判明し、

班長自らが彼の「説得」にあたります。

彼は彼で、勝手に絶望し、死のう、とまで思っている。

・・・・誤解があきらかになり、「人質」のはずの少女が

「これはナンパ」と言い出して、落着。

安積班長の面目躍如の短編です。

少年と少女のラストも嬉しい作品で、いいものを読んだ、と

思わせてくれます。

「安積班」は一度は読んでみてほしいですね。







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